月見は、月を祭る行事から始まった風習とされています。かつての厳粛な祭祀行事は、今日ではすでに気楽な娯楽に変わっていきました。民間で中秋節でのお月見が始まったのは、魏、晋の時代ですが、その時にはまだ習俗として定着していませんでした。唐の時代になると、お月見は流行ってきて、多くの月を詠じた感動深い名詩句が残されました。宋の時代には、お月見を中心とする中秋節が定着し、正式に「中秋節」と決まりました。宋の詩人は唐人と違って、月には曇った時、晴れた時、欠ける時、丸い時などがあることから、人間には悲しみ、喜び、別れ、めぐり合いなどがあることを連想して、完全無欠な事はこの世にはないという悲しい感情を詠じた詩歌をよく創ったようです。宋の仲秋夜は眠れぬ夜とされ、夜の市は空前の盛況を呈し、月見の宴は翌朝まで続くようです。

                             「CHINA HIGHLIGHTS」より